ダマスク織の小説

世界最大のシャンデリア さて、ホフマン。

『黄金の壺』を説明するために、色々なことを説明する必要があるんですよね。

彼の小説は入れ子式の複雑なものが多い。

その入れ子式にさらにもう一つ小説が隠れていたら・・・

ダマスク織の小説って言ったけれど

ダマスク織ってどんなものかご存知でしょうか?

日本では緞子とも言いますね。

ダマスク織はイスラムの織物技術で、

13,14世紀にはすでにその技術はあったのでしょう。

ヨーロッパではホフマンのいた時代には

上流階級の衣類や家具にも多く用いられていたことでしょう。

経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の色を変えて様々な文様を作る技術で

経糸で模様をおり、緯糸で素地を織る。

ダマスク織をウキペディアで見ると、ちょうど『黄金の壺』を説明するのに都合がいい箇所がありました。

一般的には・・・単色で光沢のある経糸の長い流れと、
緯糸の織り成すハイライトが見る者の位置によって、
異なった光の反射をなす。


『黄金の壺』をダマスク織の小説と言ったのは、

一つの小説(単色)のように見えて、

経糸の長い流れの部分をあらわす小説があり、

緯糸のようにもう一つの小説が横たわりハイライトのようにきらめく。

読者から見ると異なった二つの小説が玉虫色に輝いている。

そうなんです。気が付くはずなのです。

フランチスカの存在に気が付けば・・・

200年も誰もフランチスカに気が付かなかったのは一体どうしてなのか?

私は不思議でならない。

そろそろ『黄金の壺』に入っていかないといけない。
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E・T・A・ホフマンとダマスク織の小説

こんな人が自分の周りにいたらどうでしょう?

「小柄な体體、すでに幼いころから体形が少しばかり前かがみ。

異様に大きな頭が肩にくっついている。一度見たらなかなか忘れられない顔。

せわしなく動く表情。口ほどにものを言う眼。尖って前に突き出た顎。

黒っぽい髪の毛。鋭い口元。」 (『E.T.A.ホフマン-ある懐疑的な夢想家の生涯』法政大学出版局(1994)

1ハウステンボス ガラスの宮殿

『黄金の壺』の作者E・T・A・ホフマン(1776-1822)は、その優秀さに引き換え

外見は上のようなものであったらしい。

しかもその表情はたえず変化し、早口でしゃべりまっくた。

さらに人への観察力も天才らしく

人の滑稽さや弱点を見抜き、皮肉屋だったようです。

生活の糧を得る本業は最高裁判所判事

彼にとって詩や絵画や音楽や小説などジャンルはなく

本物の芸術家の純粋な心で、すべてのことに有能さが発揮できた

中世グラス


私はホフマンがメルヘンという手法を使い、

われわれに人間というものの再発見をさせようとしたのが『黄金の壺』だと思う。

ホフマンのメルヘンが

「特異な性格のホフマンだけの世界の乱舞」という評価もあるが

私は納得できない。

特に彼の優越性はユーモアとしてあらわされる。

その着想は精神が自由に遊んでいる人だからこそ湧き上がってくるものなんでしょう。

だから『黄金の壺』を理解するには、この精神の自由さが必要。

自由な精神を持ち合わせなくて、

学術的に読もうとすると上述のような評価しかできない。

文庫本で200頁にもみたない『黄金の壺』が

彼の精密に計算しつくされた複雑な構成で

ただただ人間を描いたような作品であることを再評価してほしい。

彼が付けた副題が「近代のおとぎ話」である。

まさしく200年たった今でも色あせない「近代のおとぎ話」である。

このような副題を付けた意図、そしてダマスク織のようなこの小説を

どこまで説明できるか不安がよぎるが・・・

メルヘンについて(3)

今年のIFCのツリー。意表を突いたんですけど・・・
ドレスのランプでツリーなんて、かっこいい。

2012年IFCXmas

さて毎年クリスマスシーズンになると『くるみ割り人形とねずみの王様』が

バレエでも本でも出てきますね。

E・T・A・ホフマンが友人の子供のために書いてプレゼントした作品です。

いいですね。こんなプレゼント

主人公マリーの目の前に、色々なことがに起こります。

私はホフマンが書くものすべて、人間精神を描き続けていると強く思っています。

そうこういった子供向けとされているものまで・・

メルヘンは2種類に分けられています。(こういう分け方をどうしてもするんだよね

一つはドイツは長い間中小国家の集まりだったので

それでドイツ語を共有する人々に残された唯一の文化的言葉として

18世紀にグリム兄弟が集めた伝承のグリム童話など。

なので戒めのための残酷なものが多い。本当は怖いって言われるわけです。

二つ目に創作メルヘンがあります。

世の中ではホフマンはここに分類されます。

しかし何度も言いますが、彼はどんな作品でも

一貫して「人間精神」を作品の中に描き続けています。

だからメルヘンというカテゴリーに入りきれないはず。

つかみどころのない私たち人間精神の構造は

メルヘンという形をとってしか描けないことを知っていたんです。

風車ハウステンボス 

そうでしょ?

人間って頭の中は、何にも考えないなんてできない。何か考えざるを得ない・・・

そう自由にです。なんでもありです。

みんなの頭の中は熟考ではなくて、さまざまに想像し動き続けます。

その仕組みを哲学をメルヘンという形で表し続け、いろんなところで

影響を与えているホフマンは、もっと大きく評価されないといけない。

因みにホフマンの『牡猫ムルの人生観』上下は

あの夏目漱石が書いた『吾輩は猫である』のヒントになったって

もっと知って欲しいな

こうして私の頭の中も昼夜動き続けている。

当たり前すぎて気がつかないけれど・・・

それを小説で表すなんて、正気の沙汰じゃない。ホフマンって。

メルヘンについて(2)

夜景ハウステンボス 


ところがフアンタジーなどという分野カテゴリーの壁を乗り越えると

さまざまな作品に、色々なことが起こり得る世界が繰り広げられていている。

その中に作者の深意が潜んでいる作品がある。

物語のその奥に「深意」が含まれるものは、西洋文学でも東洋文学でも

私にとってぐっと理解しやすくなる。

中国の古典『水滸伝』から影響を受けている江戸時代の大作『南総里見八犬伝』など

八つの数珠玉が飛び散りそのあと何かに導かれ八犬士として世に現れる。

そんな奇怪な物語だけれど、儒教の教えに従った作品です。(これは実は挫折してしまった・・)

荘子の寓話なども人間の浅はかさが鋭いレトリックで描かれ、

唖然、納得・・・人間は何も変わってなくて、

変わるものではないんだと言うことが分かる。

そして人間はこの世界ではとても小さいということを理解させてくれる。

私の少ない読書経験の中で、ずっと覚えて、

なぜか惹かれた作品は

夢や予感といった合理化できないものを扱った作品だった気がする。

ドイツ文学なら18世紀前半ヴィーラント

18世紀後半なら人間の邪悪を蜘蛛に象徴させたゴットヘルフ『黒い蜘蛛』

意識と無意識の葛藤を描いたクライスト『0侯爵夫人』

『ロカルトの女乞食』等も記憶に残る。

これらは短編で完結するノヴェレと呼ばれる作品

ノヴェレの定義は、いろいろあるのだろうが

ノヴェレは短編で読んだ後、なんだか不思議な感じに襲われる。

不思議だけど、なんだかわかるような・・・

人間だからうすうすわかるという代物である。この人間だからというのが重要なんです。

そして20世紀ならカフカの『変身』

内田百間(門がまえに月)の『件』

不思議な雰囲気の漂わせた作品に、人間の存在をとことん見つめたものが心に残る。

結局のところ、どんなに文明が発展しようとも

人間は不思議で変わることはない、そして現実も不思議だらけ。

このように摩訶不思議なことや超自然のことが作品に広げられても

勧善懲悪なフアンタジーとは違うものがあることに気づく。

(もちろんファンタジーがどういうものか、未だにわかってないから反論もあるだろうな)

私は人間そのもの、ただ人間が描かれているものが、好きなのだ。

ではホフマンは・・・・メルヘンは・・・

                     続く

                                  

メルヘンについて(1)

ハウステンボス ガラスの宮殿


以前、「ファンタジー」の講義を聞いた。

改めてフアンタジーも文学なんだって変な関心をしたもんだ。

元をさかのぼればギリシャ神話からつながる『ナルト叙事詩』イギリス文学のアーサー王

などの英雄伝説や神話や聖書などから延々とつながって、現代まで至っている。

20世紀ではJ・R・R・トールキンの『指輪物語』が代表になる。

魔法や超自然的な出来事などその世界ではなんでも起こり得る。

私の理解の無さか、その講義はさっぱり理解不能だったのを覚えている。

18世紀のロマン主義は、一切の制約を嫌う文学と言われるが、

そういう意味ではファンタジーってロマン主義なんだ・・・なんて思った。

                            続く






     
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